コラム「心地いい関係」

 主訴という言葉がありますが相談に至る経緯や困りごと、今自分が怒ったり悲しんだりしていることを訴え相談して話すことだと思います。私たちはその相談を受け問題を課題として受け止め、解決に向けて取り組みます。おおよその道筋を立て、今まで獲得した経験や知識人脈を使い問題解決に奔走します。

相談という意味は追求しないで話を進めたいと思いますが、多くの方々は問題などが解決した時点で自分の生活を築きその人間関係の中で生きていきます。相談を受けた側でも一応終結ということで関係性も終了でしょうか。


 しかし、ここからが問題で、当面の問題が解決されたたとしても地域で生きることの難しい人たちも多く生活しています。それは、自分を取り巻く環境や人間関係を作っていくのが上手にできないからだと思います。親族や遊べる仲間や友達などがいないか、その関係を作れないか壊れて(して)しまっていることも多くあります。人間としての生活はなかなか一人で孤立して生きるのは難しい。人は人の間で生きることが必要です。


 一刻荘という素敵なところがありました。そこを経由して多くの人々がそれぞれの生活を取り戻していきました。自分の生活を築いている人もいれば亡くなった方もいるし入院中の人もいて、それぞれの人生を生きています。一刻荘の中ではいろいろな人間関係がありそのかかわりの中で生活していました。その中や出た後でも、生活設計や人との関係が築けず生活が不安定になる人もいます。一刻荘という空間では何かあってもそれなりの対応ができました。しかし、出た後に誰と付き合い自分なりの環境をどのように作っていくかは課題として残りました。今一刻荘OBとは10人くらいの付き合いがあります。ただ、問題を抱えたとき解決の方法は難しく、一筋縄ではいかないぞと教えられました。


 私の付き合っている関係は、児童施設の時の関係が古くその時から続いている人もいます。40年以上になりますが、今は常に連絡を取り合っているわけではなく困ったときだけ連絡をくれるような関係です。これが結構うれしいし、心地いい関係です。最初はかなり密に会うことが多かったのですが、そのような時自分はその人のために援助してあげていると思っていました。


 今、個人的に連絡を取りあっている人は常時10人位ですが、固定しているわけではなくいつも入れ替わるし、時々連絡したりする関係の方のほうがはるかに多いです。いつも連絡したり会ったりしていると飽きちゃうのかもしれません。


 相談の現場では誰でも経験すると思いますが、攻撃的な人や一方的に言ってくる人や執拗に要求してきたりと、どう解決したらよいのかわからない人たちもいます。孤独だったりさみしいと感じている人や自分は一人ぽっちと思っている人達はあふれかえっているのかもしれません。でも、付き合うと結構面白い人が多いですよ。ゆっくりと関係を続けていければいいですね。大変と思われる人も多いかも知れませんが、いつかは必ず何とかなると思っています。難題を解決するのは時間と仲間と友達になることだと思っています。


 人の付き合い方を社会的な課題ととらえたときにはあまり解決にはなっていませんが、わずかな人たちでも関係を続けていくことと、それでも友達や知人の輪を広げていきたいと思います。

■執筆者:城所文恭(千葉市生活自立・仕事相談センター稲毛)

 

1951年 伊豆の西海岸にある土肥という町で生まれる
自然しかない子供時代を過ごす
魚介と虫はちょっと詳しいことと自然環境にはうるさい
あまりに田舎なので高校に入ると同時に下宿して家を出なければならなかった
学生時代最後に住んだのが千葉で、何を考えたのか県庁の障害福祉課に行き就職を依頼
1975年 運よく千葉市内の児童施設に就職し、視覚障害児と重度の障害を併せ持つ視覚障害児と楽しい時を過ごす(楽しかったのは私の方だけだったかも)
1988年 施設内だけの支援に疑問を持ち大阪にて視覚障害者の歩行訓練士を目指す
千葉に戻り平成1年1月より在宅の中途視覚障害者の生活訓練を開始
2004年 中核地域生活支援センターすけっとの立ち上げにかかわる
すけっとの印旛圏域は広すぎると文句を言っていました
2012年 退職し主夫を目指したが3か月で挫折
その後、いろいろなことに手を出しながら以前から支援していた人たちとの交友を深める
2013年 千葉市生活自立・仕事相談センターに週の半分ほど相談員として参加
その他 社会福祉法人あかね理事

一般社団法人
ひと・くらし
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