コラム「まちづくりから福祉へ~その原点とは?」

 私は学生時代に木更津のまちづくりに取り組んでいましたが、その活動の一環で、堂本暁子前千葉県知事が参加をされる福祉のタウンミーティングの企画運営に関わる機会がありました。

 市原君津圏域の発起人の中に私の知り合いの方がいらっしゃり、その方からお声掛け頂いたことがきっかけだったのですが、どういうわけか、いつの間にか私が実行委員長を務めさせていただくという珍事に。今振り返れば、当時はまだ20代前半だったので、福祉の計画づくりに若者が関わることをアピールする役目もあったのかもしれません。


 多くの方々の熱い想いとご協力のおかげで、タウンミーティングは大盛況のうちに終えることができました。それまで福祉のことを考える機会はほとんどなかった私でも「千葉の福祉は変わるかもしれない」と本心で感じるくらい充実した半年間でした。失敗や反省点もありましたが、私自身が学ばせて頂くことがたくさんあり、何よりタウンミーティングを通じて千葉県内の福祉に携わる素敵な方々と出会うことができたのは、私が障がい福祉に携わる原点でもあったと本当に感謝しています。


 このタウンミーティングがきっかけとなり、その後に千葉県が設置した「あなたに合わせた支援を星の数ほど研究会」に参加させて頂きました。今もそうなのですが、当時は高齢者分野も障がい者分野も国や市町村による制度内サービスのみを提供する事業者がほとんどでした。当然のことながら制度内サービスは利用対象者やサービス提供内容に一定の決まり=制限があり、その地域で暮らす方々のニーズ全てに応えることができていないのが現実です。県民1人1人が誰もがありのままにその人らしく地域で生活し続けるためには、制度の中のサービスだけではなく、制度の枠を超えた各事業所独自の福祉サービスを小学校区に1つずつ、まさに星の数ほど創出していく必要があるのではないか、という仮説の基に作られた研究会でした。この研究会で1年以上、様々な議論が行われ、最終的な報告書をまとめた他、制度外サービス立ち上げに対する千葉県独自の助成制度がスタートするなど、一定の成果を出すことができました。


 そして何よりの成果が、この研究会メンバーを中心にNPO法人が設立され、その後の紆余曲折がありながらも10年以上が経ち、現在の「ひと・くらしサポートネットちば」ではこのNPO法人の理念も継承しつつ、関わりのあった方々がたくさん参画してくださっていることです。だからこそ、「ひと・くらしサポートネットちば」に関わるメンバーは、社会的に弱い立場にある方や理不尽な環境に置かれている方、困りごとを感じている方々に対して真剣に向き合うことを決してあきらめないのだと思っています。少しでもこの輪が広がっていくように、私も微力ながらできることに取り組んでいきます。

■執筆者:筒井啓介(特定非営利活動法人コミュニティワークス 理事長)

 

1980年神奈川県生まれ。大学在学中から約10年間にわたり、木更津市と協働で市民起業家やNPOの支援に取り組む。
そのことがきっかけとなり、2006年に「特定非営利活動法人コミュニティワークス」を設立し、「地域作業所hana」を運営。2010年には就労継続支援B型に移行し、現在は1日約20名の障がい者が通所し、不要になった英字新聞で作るエコバッグ作りや製菓、縫製、モノ作りなどに取り組む。http://hana-work.net/ 
その後2015年には、生活介護と就労継続支援B型の多機能型事業所「hanahaco」を開設し、障がい者が働く場としてのカフェとショップの複合店舗を運営している。
http://hanahaco.com/

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