コラム「住まいは人権」

 いわゆる無料低額宿泊所の話です。
 社会福祉法が改正されたことに伴い,「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」が公布され,令和2年4月1日から施行されることになりました。

 あくまでも個人的な意見ですが,これまでは,無料低額宿泊所に入居した場合,そこからの転居自体が極めて大変でした。もちろん転居はできます。お金さえあれば誰でも。ですが,無料低額宿泊所を利用するのは生活保護受給者がほとんどです。引越代など持っていません。福祉事務所も引越代をおいそれとは出しません。劣悪な環境に耐え忍ぶか,それが無理ならホームレスになるしかなかったのです。
 ですから,無料低額宿泊所は,入ったが最後,でした。
 ですが,法律が少しだけ変わり,ついで運営基準も見直されました。
一番評価すべきは,運営基準が「居宅生活が可能な状況になるまでの間の【一時的な】居住の場を提供する」としたことです。【一時的】と明示されたのです。
 とても画期的なことです。無料低額宿泊所は,あくまで緊急避難的に利用する場であることとされたのです。
 一時的な居所ですから,すぐに出なくてはいけません。生活保護受給者も同じです。転居費用を出してもらわないといけません。

 

 施行は始まったばかりです。変わるのはこれからです。変えていかないと,と強く思っています。一人では何もできませんが,みんなでならできます。

 

 「住居」は人が生きていく上での大事なツールです。安心して寝て起きて食事をして子どもを育てて風呂に入ってまた寝る場所です。生活の基本単位です。大げさに言えば「住まいは人権」です。
 ですが,日本の社会保障政策では,なぜかこの住まいの問題は非常に弱いです。いわゆる給付金は,恒久的な制度では「生活保護の住宅扶助」しかなく,あとは短期間に限られる「住居確保給付金」しかありません。
 なぜか「公助」が薄れる今日,住まいの問題,考えてみませんか。

■執筆者:常岡久寿雄(弁護士・たすく法律事務所)

 

平成12年 弁護士登録(千葉県弁護士会)
平成17年 現事務所(たすく法律事務所)開設
平成18年 千葉県弁護士会消費者問題委員会 副委員長
平成20年 千葉県弁護士会生活保護問題対策委員会副委員長
平成21年 日弁連貧困問題対策本部委員
平成25年 千葉県弁護士会消費者問題委員会委員長
平成29年 千葉県弁護士会副会長
令和元年 千葉県弁護士会社会福祉委員会委員長

 

平成17年 千葉県内で「千葉県多重債務対策会議」(現:千葉県生活再建のための法律家ネットワーク)を設立、事務局長就任以後、安愚楽問題や出会い系などの複数の弁護団事務局長を務める。
平成25年 ひと・くらしサポートネットちば代表理事
平成28年1月~LGBTに関連した政策提言の会「レインボー千葉の会」の呼びかけ人を務めることとなる。

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